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40〜50代の方は、腕を動かして痛みが出ると「もしかして四十肩??」と、ついつい心配になりがち。今回は東洋医学の話からちょっと離れて、多くの方を悩ます『四十肩』について書いてみました。少しお年が上の方は『五十肩』と言いますが同じものです。一度なると数ヶ月、ひどい時には1年以上その痛みと付き合わなければなりません。この厄介な肩の痛み、これはいったい何なのでしょうか?
そもそもはっきりした原因がないものの事を『四十肩』と言います。症状は良く似ていても原因がはっきりしている場合、例えば肩関節に石灰がたまって起きる場合がありますが、これには『石灰沈着性腱板炎
(女性に多いです)』という名前があり『四十肩』とは区別されます。
  『四十肩』がなぜ起きるのかは、認めたくないでしょうが「老化現象」の一つと言われています。では、なぜ肩なんでしょう?
身体には骨と骨をつなぐ沢山の関節があり、頭蓋骨の関節みたいに動かない関節から、背骨の椎間板みたいにわずかに動くもの、肘や膝や股関節のように大きく動く物と様々です。その沢山の関節の中で、最も大きく動く関節は肩の関節で、調子が良ければ360度近い角度まで動かすことができます。そのため、腕の骨の上端が入る肩胛骨の関節のくぼみは浅くなっていて、肩の骨は腕がとてもはずれやすい構造
(だから肩は一番脱臼しやすい場所です)であるため、靭帯・腱などでしっかり補強してはずれないようにしています。
  それから両腕の重さは体重の約1/8〜1/10と言われています。だから50kgの方の場合、左右それぞれの肩に3kg程の荷物を何もしなくてもぶらさげている事になり、その負担は肩の靭帯・腱に大きくかかっています。
  また、腕の動きに重要な肩胛骨周りの筋肉が凝りや運動不足で堅くなっていると、更に肩に負担がかかります。
40才を過ぎると身体の様々なところに衰えを急に感じだす頃です
(ちょど老眼も進む年齢ですよね)。でも、まだまだ元気な部分も沢山あります。なので、長年使ってくたびれた靭帯や腱が、元気な部分に引きずられて無理をし、炎症を起こすと考えられています。
 くたびれた部分と元気な部分の調整が上手くいくと、回復していくようです。
それでは、『四十肩』の経過にそって対策を考えていきましょう。

1. まずは予防
  同じ姿勢や同じ動作の繰り返しは『四十肩』の元。パソコン操作や料理などそんなに負担がかかってないようで、長年、毎日同じ動きをしていると同じ部分に疲れが溜まっていきます。美・理容師さんのように腕を上げた姿勢の多い方も同じ部分が酷使状態です。
  このような場合には、こまめに背伸びや屈伸をしたり、肩をゆっくり大きく回したりして偏った疲れをとる事が大切です。タオル体操も疲れをほぐすのに有効です。日頃から運動をしていても、ゴルフのように同じ動きが多い場合も要注意。疲れを出来るだけ溜めないようにしましょう。

2. 「もしかして四十肩?」という症状があったら
  後ろに手を回したりねじったり、腕を上げ下ろしする時などの痛みから始まることが多いです。この時期に早めに対処すると軽く済む場合が多いのですが、心配する程のことに感じないので「たいしたことない」と思い、今まで通りの生活をしてしまいがちです。
  暖めて血行を良くする事が基本ですが、集中的に腕を使った後は痛い箇所を10分間アイシングをしましょう。出来るだけ重たい物を持ったり激しい動きは控えて下さい。でも、痛いからといって動かさないでいると、かえって悪化させる事になります。タオル体操が筋肉の調整に有効です。

3. 何もしなくても痛む、夜寝ている時も痛む
 この時期を『急性期』と言い、炎症が腱・靭帯だけでなく関節包や滑液包にも広がっている状態です。ここまでくると一度、病院で診ていただいた方がよいでしょう。
  無理をしたために腱が切れてしまっている事もあります
(この場合は『腱板断裂』という病名がつき『四十肩』とは区別されます)。『腱板断裂』や前述した『石灰沈着性腱板炎』などはほっておくと非常に長引いたり、治っても可動域が狭くなったりするので、早めの処置をお勧めします。
  肩サポーター・三角巾などで固定し、アイスパックなどで直接冷やして熱感をとりましょう。ただし、冷やし過ぎは回復を遅らせますので禁物、アイスパックは10分以内で。血行を良くするために、手先を温めて腕全体の血行を促すのが有効です
(直接暖めると痛みが増すので要注意)

4. 何もしなくても痛む事はなくなったけど、
      動かすと痛い

  この時期を『拘縮期』と言います。出来るだけ冷やさないようにし
(血行を促すため暖めるのが基本です)、少しづつ無理のない運動をしましょう。この時期に動かさないでいると関節が固まり、折角治っても動く範囲が狭くなってしまいます。かといって急に無理をするとまた炎症がひどくなってしまいますので、まずはアイロン体操から始めましょう。(アイロン体操は『急性期』の時でも無理なく行っていくと早く治るようです) アイロン体操が無理なく出来れば壁体操をしましょう。タオル体操も出来る範囲で取り入れていきましょう。

5. 痛みは治まったけど腕が上がりずらい、
       後ろに手が回らない

 この時期を『回復期』と言います。
  この時期は積極的に動かしていきましょう。肩胛骨がしっかり動くと、肩の靭帯への負担が減りますので、肩胛骨周りを柔らかくしておく事が大切です。お風呂の後など身体が暖まった時は動かしやすいので、そんな時にタオル体操(表面)を肩胛骨を意識しながらしてみましょう。軽い筋トレなどもお勧めです。次の日に疲れを残さない程度の運動をしましょう。



精油(アロマオイル)をスィートアーモンドやマカデミアンナッツなどの植物オイル(キャリアオイル)に溶かしてマッサージオイルを作り、肩胛骨を含む肩周りに塗ります。
  精油は2〜4種程度をブレンドして使うと単独より相乗効果でより効き目が期待できますが、精油の濃度は合計で3.5%以内にしましょう。(アレルギー体質の方は事前にチェックをして下さい)。
四十肩対策には、痛みや炎症を抑える作用、血行やリンパの流れをよくする作用の精油を使います。
例えば……
 ペパーミントは、塗ると冷たく感じますが実際は血行をよくする力があり、痛みを抑えたり緊張を緩和したりする力も強いです。ただし、お肌には刺激が強いのでごく少量で、長期の使用も控えた方が良いのでとても痛い時期に使いましょう。ウインターグリーンも痛みを抑える力が強く血行も促してくれるのですが、お肌への刺激も強いのでごく少量で使います。
  レモングラスには痛みを抑えて血管を拡げ血行をよくする作用、ユーカリレモンも痛みを抑える作用、ローズマリーには血行を促し筋肉を柔らかくする作用があり、最初の2つの精油ほど刺激が強くないので、急性期から回復期まで使えます。
  ラベンダーは穏やかに痛みを抑えたり筋肉を柔らかくしたりする力があり、マージュラムには血管を拡げて血流を促す作用、この2つは穏やかな精油なのでとても使いやすい精油です。
  不要な物を流す作用のジュニパーやヘリクリサム、炎症を抑えるバジルやシトロネラなどもよく使います。

マッサージオイルのレシピ(これはほんの一例です)

  激しく痛い時   ウインターグリーン 5滴、ペパーミント 10滴、ユーカリレモン 15滴、ヘリクリサム 5滴、植物油 50cc
  激しく痛い時
  動かすと痛い時
  ウインターグリーン 5滴、ローズマリー 15滴、レモングラス 8滴、 ヘリクリサム 3滴、植物油 50cc
  動かすと痛い時
  動く範囲が狭い時

  レモングラス 6滴、バジル 13滴、マージュラム 8滴、ジュニパー 8滴、植物油 50cc
  動く範囲が狭い時   ローズマリー10滴、ラベンダー12滴、マージュラム 8滴、ジュニパー 5滴、植物油 50cc

お風呂あがりと朝起きた時、痛みがひどい時に、肩周辺に滑らかに手がすべる程度に塗ります。



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