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会報【ねろりでげんき】の目次
》 ねろりでげんきNo.25
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何か問題を抱えている時に、思わず「○○を考えると胃が痛い……」と愚痴ってしまう事はありませんか? ただの愚痴で済めばよいのですが、本当に胃が痛くなってしまう事があります。胃が痛いと楽しいはずの飲み会・お食事会も台なしです。
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東洋医学では精神的な影響を最も受けやすい臓器は『心
(しん・心臓を中心とした循環器全般の意味)
』とし『心は神
(しん・精神)
に通じる』と言う表現をしています。確かにストレスがかかると心臓がバクバクと早くうったり、血圧が上がったりと、とっても判りやすく変化が起きます。で、この『心』の影響を最初に受ける臓器は『脾(ひ・西洋医学の膵臓と脾臓の意味に近いです)』と『胃』とし、特に夏の土用の時期
(今年は7月20日〜8月7日)
は、『脾・胃』の気に注意しなければならない時期としています。
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ここで西洋医学の話になりますが、心臓のバクバクや血圧の上昇は、身体を“戦闘態勢”にする自律神経の交感神経の働きだという事をNo.11で書きました。身体が“戦闘態勢”になると、動き回るのに必要なエネルギーや酸素を骨格筋に素早く送るために血圧や脈拍が上がります。骨格筋に血液を送るスピードが大切なので血管を締めて細くし急流状態にします
(骨格筋の血管は拡張します)
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交感神経が活発になり骨格筋を動かすモードになると、酸素と血液を送る心臓と肺以外の内臓、特に消化器官の方は活動をするのに充分な血液が巡ってこなくなり、消化酵素も充分出ないのでお休みモードになります。胃の場合も、胃の筋肉
(平滑筋)
は緩んで休みます。この状態では食べ物は消化出来ませんから、胃の出口
(幽門)
の筋肉
(括約筋)
は未消化の食べ物が腸に流れ出ないようにギュッと締まります。そうなると、胃の中には未消化の食べ物が留まってしまいます。逆に副交感神経が働くと、十分な消化酵素が出るようになり、胃の筋肉の動きを活発にして食べ物を消化し、出口
(幽門)
の筋肉を緩めてどんどん充分消化された物を腸に流すように働きます。
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ストレスの多い生活は交感神経の働く時間が長くなりがちなので、それが度々だと胃もたれや吐き気を起こし、胃酸のコントロールも悪くなり胃痛や逆流性食道炎などに繋がってしまいます。交感神経と副交感神経の切り替えも上手くいかなくなります。このようにして「胃が痛くなりそう……」が本当に「胃が痛い」の状態になるのです。胃の中にピロリ菌が住んでいる方は、胃潰瘍や悪くすると胃がんの原因にもなってしまいます。
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自律神経というのは意識して切り替える事はできませんが、意識してできる事で少しでも胃の負担を減らしましょう。それが副交感神経の働きを促す事にもつながりますので、困り事が多い時・イライラしやすい時ほど下記を意識してしてみませんか。
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よくかんで食べましょう
。→食べ物を細かくして胃の負担が減らすだけでなく、噛む刺激で唾液や胃の消化酵素の分泌が促されます。柔らかい物ばかり食べていると噛む動作がおろそかになるので、堅い物も食事に取り入れてよく噛む習慣をつけて下さい。
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食後30分はゆっくりと
。→食後すぐに動き出すと骨格筋に血液が必要になってしまい、胃が活動するのに充分な血液が足りなくなってしまいます。できるだけ胃の活動を最優先に。
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適度な運動を
。→骨格筋にONとOFFのメリハリをつけると自然に消化器の方にもメリハリがつきやすくなります。メリハリをつけるという意味では、暇があるとずっと食べている方がいますがこれもNG、胃が休む時間も必要です。ゆっくり食べるのとだらだら食べるのは違います。
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「ながら食べ」はダメ
。→食事中、ゲームをしながら、仕事をしながらなど交感神経を刺激しながらだとそちらが優位になってしまう事があります。上のメリハリをつけるのと同じ事ですね。
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発酵食品を食べましょう
。→納豆・味噌・ヨーグルト・チーズ・ぬか漬・キムチなどの発酵食品は各々の働きは違うものの消化吸収を助けたり、善玉菌を増やしたりして胃腸の調子を整えてくれる物が多数あります。
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苦い夏野菜と言えばゴーヤにキュウリ……キュウリも最近のは苦くありませんが、昔のは皮辺りはもっと苦かったと思います……暑い時に、この苦い野菜達は東洋医学的にも最適な野菜です、というお話です。
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夏、太陽からたっぷり陽気
(エネルギーに近い意味です)
をもらい、人を含め自然界の多くの動植物は活発に活動します。海へ山へとアウトドアを楽しまれる方も多いのではないでしょうか。日中は暑すぎて外出を控える方も、夜は遅くまでソウソウしていませんか?
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活発に活動する時は、エネルギーや酸素などを身体の隅々まで供給する『心
(しん・心臓や血の流れ
)』もフル回転、『心』自身も沢山陽気を作るので、外から内からと陽気が集中し有り余る事があります。すると陽気というのは温める力=熱を持っていますので、『心』には余分な熱が溜まりオーバーヒートしてしまいます。こんな時には余分な熱をとる必要があり、それには“苦い食べ物
(「渋い」も含む)
”例えばゴーヤ・キュウリ・ピーマン・パセリ・セロリ・チシャなどの葉野菜、フキ・ゴボウなどアクのある野菜、緑茶・コーヒーなどが良いとされています。
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上記の話をもう少しかみ砕くと、東洋医学の『心
(しん)
』とは、心臓だけでなく血液の流れ
(血液の成分は『肝』)
も含んでおり、苦い物は血脈の流れを盛んにして『心』の余分な熱をとるとしています。東洋医学独特の考えなので現代医学的に表現するのは難しいですが、“血流を良くして血圧を下げ心臓の負担を減らす゜という感じでしょうか。だから漢方では『心』のオーバーヒート状態=心臓に負担がかかっている状態、例えば動悸・息切れ・心筋梗塞・狭心症などに苦い食べ物を用います。また、炎症というのは熱を持っていますので“苦い物”は炎症を抑えるのにも有効です。ただし、苦い食べ物は胃腸の熱もとるので、胃腸の冷えやすい方は食べ過ぎると食欲がさらに落ちてしまうので要注意としています。なお、“熱をとる”というのと“身体を冷やす”というのは別の状態で、苦い物にも身体を冷やす物や温める物があり、ゴーヤやキュウリは冷やす方なので、熱をとって冷やしてくれる、夏、最適な食べ物なのです。
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苦くて冷やす
ゴーヤ・キュウリ・セロリ・レタス・アロエ・ゴボウ・緑茶・コーヒー・
タケノコ・ヨモギ
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苦くて温める
フキ・パセリ・ピーマン・菜の花・しそ・ワラビ
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冷温どちでもない
春菊・ギンナン
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ごく最近、国立がん研究センターなどの研究チームが『緑茶やコーヒーを毎日多く飲むと、心臓病や脳卒中などで死亡するリスクを低下させる』との調査結果を発表しています。植物に含まれる苦味の成分、カテキンなどポリフェノールが関与しているようです。ビールの苦味・ホップもポリフェノールを含み、本来は身体に良いはず……コップ一杯程度ならよいのですが……ついついグビグビ飲んでしまうから悪い物になってしまうのですね。
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凍らせた果物や野菜をミキサーで細かく砕いたスムージーが流行っているようです。この前、テレビであるタレントが「食事代わりにスムージーをとってます、美容と健康のために……」なんて事を言ってました。確かに野菜不足の方やゆっくり食事をとる時間の無い方には面白いアイデアだと思います。でも、食事を抜いてスムージーだけにしたり、キンキンに冷えたのをとる事は、美容と健康の為には多分に「?」です。
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胃腸の最も良く働く温度は37〜38度と言われています。氷入りのスムージーのような“とっても冷たい流動食”だと胃は一気に冷やされて温度が下がってしまいます。すると自律神経は、胃が調子よく働ける温度に戻そうと血液を胃に集めて一生懸命温めようとします。その間、消化活動は休止状態、胃の働きが落ちるので食欲の無い時には逆効果になりかねません。消化器官の働きを鈍らせると口内炎や吹き出物のもと、美容にも大敵です。そんな食事が度々だと体温調整に関わる自律神経もまいってしまいます。
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また、表面にも書きましたが、咀嚼というのは大切な事です。消化を助けるだけでなく、最近の研究では痴呆の予防に効果がある事が解ってきました。しっかり噛む事で脳が活発に働くようになるそうです。
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夏バテしている時は、のどごしで食べれる物を求めがちですが、胃腸を元気にするためにも、
認知症予防のためにも、しっかり噛んで食べる事を心がけてみませんか。
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