
■何か問題を抱えている時に、思わず「○○を考えると胃が痛い……」と愚痴ってしまう事はありませんか? ただの愚痴で済めばよいのですが、本当に胃が痛くなってしまう事があります。胃が痛いと楽しいはずの飲み会・お食事会も台なしです。
■ここで西洋医学の話になりますが、心臓のバクバクや血圧の上昇は、身体を“戦闘態勢”にする自律神経の交感神経の働きだという事をNo.11で書きました。身体が“戦闘態勢”になると、動き回るのに必要なエネルギーや酸素を骨格筋に素早く送るために血圧や脈拍が上がります。骨格筋に血液を送るスピードが大切なので血管を締めて細くし急流状態にします(骨格筋の血管は拡張します)。
交感神経が活発になり骨格筋を動かすモードになると、酸素と血液を送る心臓と肺以外の内臓、特に消化器官の方は活動をするのに充分な血液が巡ってこなくなり、消化酵素も充分出ないのでお休みモードになります。胃の場合も、胃の筋肉(平滑筋)は緩んで休みます。この状態では食べ物は消化出来ませんから、胃の出口(幽門)の筋肉(括約筋)は未消化の食べ物が腸に流れ出ないようにギュッと締まります。そうなると、胃の中には未消化の食べ物が留まってしまいます。逆に副交感神経が働くと、十分な消化酵素が出るようになり、胃の筋肉の動きを活発にして食べ物を消化し、出口(幽門)の筋肉を緩めてどんどん充分消化された物を腸に流すように働きます。
■自律神経というのは意識して切り替える事はできませんが、意識してできる事で少しでも胃の負担を減らしましょう。それが副交感神経の働きを促す事にもつながりますので、困り事が多い時・イライラしやすい時ほど下記を意識してしてみませんか。
●よくかんで食べましょう。→食べ物を細かくして胃の負担が減らすだけでなく、噛む刺激で唾液や胃の消化酵素の分泌が促されます。柔らかい物ばかり食べていると噛む動作がおろそかになるので、堅い物も食事に取り入れてよく噛む習慣をつけて下さい。
●適度な運動を。→骨格筋にONとOFFのメリハリをつけると自然に消化器の方にもメリハリがつきやすくなります。メリハリをつけるという意味では、暇があるとずっと食べている方がいますがこれもNG、胃が休む時間も必要です。ゆっくり食べるのとだらだら食べるのは違います。
■活発に活動する時は、エネルギーや酸素などを身体の隅々まで供給する『心(しん・心臓や血の流れ)』もフル回転、『心』自身も沢山陽気を作るので、外から内からと陽気が集中し有り余る事があります。すると陽気というのは温める力=熱を持っていますので、『心』には余分な熱が溜まりオーバーヒートしてしまいます。こんな時には余分な熱をとる必要があり、それには“苦い食べ物(「渋い」も含む)”例えばゴーヤ・キュウリ・ピーマン・パセリ・セロリ・チシャなどの葉野菜、フキ・ゴボウなどアクのある野菜、緑茶・コーヒーなどが良いとされています。
●苦くて冷やす ゴーヤ・キュウリ・セロリ・レタス・アロエ・ゴボウ・緑茶・コーヒー・
■ごく最近、国立がん研究センターなどの研究チームが『緑茶やコーヒーを毎日多く飲むと、心臓病や脳卒中などで死亡するリスクを低下させる』との調査結果を発表しています。植物に含まれる苦味の成分、カテキンなどポリフェノールが関与しているようです。ビールの苦味・ホップもポリフェノールを含み、本来は身体に良いはず……コップ一杯程度ならよいのですが……ついついグビグビ飲んでしまうから悪い物になってしまうのですね。
■また、表面にも書きましたが、咀嚼というのは大切な事です。消化を助けるだけでなく、最近の研究では痴呆の予防に効果がある事が解ってきました。しっかり噛む事で脳が活発に働くようになるそうです。