■今回は、悩み事が多くて寝付けない……というのでなく、何となく寝つきが悪い方へのお話です。
■まず、右下のグラフを見て下さい。これは、規則正しい生活リズムの方の体温と眠気の関係のグラフです。体温は、朝の起床2〜3時間前が最も低く、それから体温が少しづつ上がり始め、活動できる準備を始めます。そのまま夕方にかけて徐々に上がっていき1日の最高に達します。健康な方で1日を通して1℃ぐらいの体温差があります。そして眠りにつく3〜4時間前から手足に熱を集中させて放熱し体温を下げていき、胴体の体温も下がりだすと眠気がおきます。そして体温を下げながら深い眠りに入っていきます。“良い寝つき”には、この“手足から放熱し体温を下げる”という事がとても重要なのです。だから眠たくなったら手足が熱くなります…子供は解りやすいですよね。「就寝時に足が熱すぎて布団から足を掘り出してしまう」という話しを耳にしますが、これは身体の周期としては正常です。ただ、やや自律神経の微調整が難しくなっているかもしれません。
■この体温のリズムと就寝・起床がうまくいっていないと眠れない・起きられない状態になってしまいます。寝つきの悪い方は、意識して就寝3時間前に最高体温に持っていくようにすると良いです。そのためには、
●夕方から就寝3時間前までの時間帯に、ウォーキングや体操など軽い運動を30分ぐらい汗ばむ程度してみましょう。
●40℃のお湯で20分程度の入浴を就寝の1〜2時間前までに済ませておきましょう。湯温が高すぎたり長風呂はかえって寝つきを悪くします。(半身浴の場合もとても長いのは逆効果です)
■冷え性の方は、就寝時間でも手足が冷たいので体温を上手く下げる事ができず、寝付つきが悪くなりがちです。ですので足を温める事をお勧めします。簡単なのが足湯をして足が冷えないうちにお布団に入るという方法です。半身浴の場合は38〜40℃のお湯に20〜30分程度つかり、就寝1時間前にはお風呂から上がります。湯たんぽは、最初暖かく段々常温になるので理想的な暖房具です。靴下を履いて寝るのもよいですが、厚すぎる靴下だと熱が放出されにくくなってしまいます。
■「眠れない」と言われる方に睡眠時間が全体に長すぎる方がみられます。個人差はありますが、成人で1日6〜8時間(お昼寝される方はそれも足して)、それ以上は逆に身体に良くないようです(病気の方は別です)。また、年をとるほど睡眠時間は短くなるのが普通ですので(睡眠が必要なくなるので)、「若い時に比べて眠れなくなった」は極端な不眠でない限り、あまり気にされなくてよいです。
■寒い時はお布団の中が心地良いですが、長すぎる睡眠はかえって身体がだるくなったり、変な時間に眠気がしたりとあまり良い事はないですので、お布団と仲良くするのはほどほどにしましょうね。