
■東洋医学では「春は『肝』が旺盛で、また気をつけないといけない季節で、『肝』の調子は『爪』に反映される」としています。東洋医学の『肝』は臓器そのものだけでなく、その働き、例えば悪い物を解毒したり必要な栄養素を分解・合成したりする働きも含めます。なので「栄養バランスが悪かったり、解毒が上手くいっていないと、爪にわかりやすく出る」ということを意味しています。
●爪に縦の線がある。肌荒れと同じようなもので爪が乾燥状態。「ならば水を飲めば?」そんな簡単なものではなく、胃腸の調子が衰えたりして、身体全体の新陳代謝が落ちていることが原因です。年をとればある程度しょうがないのですが(お肌の水々しさが失われるのと同じ)、20~30代の方は胃腸の調子や栄養バランスに要注意です。
■立っている時も歩いている時も、身体のバランスをとるのにとても大切な足の爪。爪の調子が悪いと正しい姿勢で立ったり歩いたり出来ないし、また不自然な歩き方や運動不足が爪に悪い影響を与え、悪循環を作ってしまいます。悪い影響のよくある症状が「巻き爪」。爪の切り過ぎ・いわゆる深爪も原因の一つですが、靴が合っていない場合も巻き爪の原因となります。足先を締める靴や逆にぶかぶかの靴では指を上手く使って歩けないので、かかとに重心が偏り、結果的に足の指が浮いたようになります。これが日常的になり指が浮いた状態が「浮き指」で、立った時に人差し指・中指の先が浮いている方は要注意です。
爪には本来、巻き込むクセがあるので指先に適度な負荷をかけないと巻き爪になりますから(運動不足で巻き爪になる理由でもあります)「浮き指」は巻き爪の元です。だから地面からの反発力を使って足指の腹に適度な負荷をかけ、出来るだけ巻かないように成長させていくことが必要です。
■「正しい歩き方は?」「かかとから着地して、足の裏の前側に重心を移していって、最後は足指で地面を蹴る。手は足と反対の動きでしっかり振る」……「でも、この歩き方より膝や腰や足首の悪い方にはもっと楽な歩き方がありますよ」、というのが今回のお話です。
足裏着地」とします)。足先を前に出すのでなく膝を前に出すイメージで足を出して下さい。
■「足裏着地」は足の裏に意識が行きがちですが、無理矢理、足裏全体で着地しようとすると不自然な歩きになるので、太ももと膝を前に出す動きの方を意識してみてください。足を振り子のようにその勢いを使って歩く「かかと着地」と違って、「足裏着地」は蹴る動作も無いので、太ももをしっかり使わないと歩けません。最初は太ももに筋肉痛が起きるかもしれませんが、太ももが強くなるということは長くしっかり歩くのに大切ですし、代謝効率も上がります。
■ところで、なぜこの歩き方が負担が少ないのでしょう。まず「かかと着地」だと、かかという小さい部分が移動の際の支点となるので、そこに負荷が強くかかり、かかとの疲弊が膝や腰に影響を与えてしまいます。立っている時「かかと」「指の付け根」「足の指」の3カ所に重心を置いて全身のバランスをとってします。この3点にバランス良く力が分散出来た状態が最も疲れにくい立ち方です。これは歩く時の着地も同じで、この3点に力を分散することで足の疲労が防げます。例えば、同じ仕事量でも3人で協力すれば「ちょっと疲れたかな」が、1人に負担が片寄るとその人がバテてしまい、1人の調子が乱れると残りの2人に負担が増えて順に調子が乱れる……というイメージです。なお、「足裏着地」は足の裏のアーチがクッションとなります。だからアーチが無い扁平足の方は、無理せず挑戦してみてください。(足裏の筋肉が発達して土踏まずが無い場合がありますが、これは扁平足とは違います。扁平足とは、足の骨のアーチが殆ど無い状態を言います。)
■実はこの足裏全体での歩き方、新しい歩き方ではありません。日本に靴が入ってくる以前、わらじを履いている時の歩き方なんですね。わらじでかかとから着地すると脱げてしまいそう……わらじの場合、軽く足先から足裏全体を使って着地し、太ももの大きな筋肉を使って歩き、これは長距離を歩くには疲れにくい歩き方のようです。だから山歩きにも向いているのですね。そして、日本の古武道にも通じる歩き方らしいです。靴文化と一緒に入って来た「かかと着地歩き」はさっそうとして、とてもかっこ良く見えます。でも、日本古来の歩き方は腰や膝に優しい、長距離を歩いても疲れにくい歩き方です。最初は上手くいかなくても、慣れるととても楽な歩き方ですので、お試しください。(太ももをしっかり使うのでダイエットにも良いですよ)