トップページ 》 会報【ねろりでげんき】の目次 》 ねろりでげんきNo.44




ひどく痛いこむら返り。医学用語では『有痛性筋痙攣』筋肉がつった状態です。 有痛性筋痙攣は足の裏や指、太もも、胸などどこでも起きますが、特にふくらはぎによく起きることもあり『こむら=ふくらはぎ』、こむら返りと言われています。(【コブラ返り】ではありません)気持ち良く寝ている時に起きると最悪ですが、なんと、50歳以上の方の殆どが就寝中にこむら返りを経験しているとのこと。では、どこも悪くないのに、なんで酷い痛みが出るのでしょう。

こむら返りがどのように起きるのか、ふくらはぎに起きるこむら返りを中心に簡単に説明します(実は未だよく解っていない事が多いらしいです)。
 筋肉や骨と筋肉をくっつけている腱には、センサーとして働く『筋紡錘』と『腱紡錘』というのがあります(左図)。これらは、筋肉が伸び過ぎて切れてしまわないように「やばい!」と感知した時には、即座に脊髄に信号を送り、脊髄から「縮め」という指令を出させます。腱紡錘については、縮み過ぎの時にも、脊髄に「伸びろ」という指令を出すよう信号を送ります。
この仕組みは、普通は筋肉や腱と脊髄の間でバランス良く働いています。

でも、このバランスが一瞬でも崩れた時、コントロールが効かなくなって、こむら返りが起きます。
よくある就寝時のこむら返りは仰向けで寝ている時。手でも足でも身体の全ての部分で、表面の筋肉を伸ばせば、その裏側の筋肉は縮んでいる状態になります。例えば、膝を曲げた時には膝の筋肉は伸びていますが膝裏の筋肉は縮んでいます。仰向けで寝た時、足先がつま先立ちのような状態(右図)になると、膝から下の前側の筋肉(向こうずね)は足先方向に引き伸ばされます。すると裏側のふくらはぎは膝側に向かって縮む状態になります。この時、良くない条件があると丁度良いバランスで筋肉が縮むことができず、けいれんが起きます。これがこむら返りです。

良くない条件とは「足が冷えている」「筋肉が硬くなっている」「水分不足」などが考えられます。どれもこむら返りが起きてしまう最悪条件「血行が悪くなる」にも繋がっています。
足が冷えている。
 寒い時期、特に朝方は気温が下がるため、こむら返りが起きやすくなります。気温が下がった時でも身体は一定の体温を保とうとしますが、それは胴体や脳が最優先。なので手足を温めるのは後回し、足は冷え易くなります。冷えると毛細血管は縮こまり血行は悪くなり、筋肉も硬くなってしまいます。なお、夏場でも冷房での冷やしすぎは禁物。
筋肉が硬くなっている。
 運動に限らず普段より少し無理をした後、疲れをとっていなければ、疲労が溜まってしまいます。そういう時、筋肉が硬くなって収縮しにくくなるので、こむら返りの起きやすい状態です。なお、筋肉の収縮は血液を心臓に戻す大切な役目を果たしています。特にふくらはぎは第2の心臓と呼ばれる筋肉。ふくらはぎが硬いとそれが上手くいかず、血液の循環の妨げにもなります。筋肉が硬くなくても、筋肉が減った、弱っている場合もこむら返りのリスクが高くなります。
水分不足になっている。
 寝ている時、起きている時に比べて心拍数などは下がってはいますが、身体の中では様々な活動が行われています。なので睡眠中でもコップ1杯分の汗をかくとのことです。でも、寝ている時に水分補給は出来ないので、朝方には水分不足に陥っていることがあります。更に、お酒やコーヒーなど利尿作用があるものを寝る前に取っているとリスクはあがります。水分不足から血行が悪くなることもありますし、血液も含め体液のミネラルバランスを崩す要因にもなります。この崩れが、こむら返りのリスクを高くします。
イオンバランス(ミネラルバランス)が崩れている。
 カルシウム、カリウム、マグネシウム、などのミネラル分の不足はこむら返りを起こす要因に。
特に運動時のこむら返りは、水分やミネラルが不足していることが考えられます。

こむら返り予防
「足が疲れているな」と感じた時にはお風呂で温めて血行を促す。
 湯船で、ふくらはぎをこぶしで軽くポンポン叩いてほぐすのも一つです。
足を重点にストレッチ。 夕方以降の体温が高めの時に無理をしない程度
にストレッチ(就寝前でもOK)。入浴後は身体が柔らかくなっているので効果的。筋肉が硬い時には、ストレッチ中にこむら返りが起き易 いのでお気をつけて。決してはずみを付けず、身体の力を抜く感じで息を吐きながらゆっくりと無理なく、気持ち良く感じる程度に伸ばしてください。
寝る前にコップ一杯の白湯(40度ぐらいのぬるいお湯)をゆっくり飲む。

カルシウムの多い食品

牛乳・ チーズなどの乳製品、小魚、ひじき、しそ、春菊、納豆などの大豆食品
など
カリウムの多い食品

ほうれん草、ブロッコリ、人参、かぼ ちゃ、芋類、豆腐や納豆など大豆食品、ひじき、わかめ、魚介類など
マグネシウムの多い 食品

アーモンド、ほうれん層、ごぼう、あさ り、金目鯛、しらす、豆腐や納豆などの大豆食品、バナナ、ごまなど
〈br〉  体温に近い白湯は胃腸を冷やすことがなく、冷水に比べて胃腸の負担が小さいです。ゆっくり飲むのも胃の負担を減らすため。寝る前にスポーツドリンクを温めて飲むのも一案です(但し虫歯予防に、飲んだ後はうがいや歯磨きをお勧めします)。
普段の食事でミルラルを充分にとる。スポーツドリンク等の利用も有りです。
 こむら返りには、ミネラルの中でもカルシウムとカリウム、そしてマグネシウムが深く関わっています。カルシウムとカリウムには筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにする働きがあり、この2つを調整しているのがマグネシウムです。特にマグネシウム不足は腱紡錘の機能低下と深い関係があります。
重たい布団はできるだけ避け、軽めの掛け布団で。
 就寝時の多くは寝返りをうった時や仰向けの時に起きています。特に仰向けは、足首の関節が引き伸ばされて、つま先立ちみたいな状態になることがあります(図A)。そんな時、重たいかけ布団は重しのようなもの。その状態を助長します。なので軽い布団の方が適しています。なお、筋肉が柔らかい時は自然と左右の足先が開くこともあり(図B)、こむら返りは起こりにくいです。

こむら返りが起きた時の対処方法
こむら返りとは、筋肉の異常な緊張が続き、緩むことができず激痛が走る状態です。だからまず、筋肉の緊張を緩めることが大切です。
 足先がつま先立ちみたいになって向こうずね側が急に引き伸ばされ、それに対応しようとふくらはぎ側が慌てて収縮緊張、誤作動でけいれん。なので、ふくらはぎ側の筋肉を緩めてあげれば平常な状態に戻るはずです。
①痛い側の足を前に伸ばして座り、つま先をつかむ。
②ゆっくり息を吐きながら、つま先を身体側に引き寄せ、膝の裏をゆっくりと伸ばす。
③痛みが和らぐまで続ける。
○手が足先に届かない場合は、タオルをつま先に引っかけて、引き寄せて下さい。
○壁などに足の裏を押しつけて膝の裏を伸ばすのもありです。○立ち上がることができれば、壁を腕で押すような形で、膝の裏を伸ばす方法もあります(左図)。
漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、比較的に即効性のある薬として知られています。筋肉がつった状態は、「気」と「血」が一時的に不足している状態と捉え、それを補い、けいれんを鎮めるお薬です。予防としても1~2日前に飲むと効果が期待できるとのことです。先ずは、お医者さんか漢方処方の出来る薬局にご相談を。

ところで、こむら返りと呼ぶには下記の条件があります。
 1.安静時も運動時も起きる。←→激しい運動時のみ起こるのは違う可能性があります。
 2.数分程度で改善する。←→何時間も続くのは違います。
 3.酷い痛みである。←→酷く痛く無いのは違います。
 違う場合、特に1や2が度々起きる方は、病院での受診をお勧めします。
 また、殆どのこむら返りは一過性のもので治療は必要ありません。しかし、最近、急に度々起きるようになった、身体の様々なところで起きるなどの場合は、何らか病気が原因かもしれませんので、心配な方は病院に受診してください。特に肝機能が落ちていると起こり易いようです。なお、高脂血症治療薬や降圧剤、利尿薬などのお薬との関係も考えられますので、服薬中の方はお医者さんにご相談を。

HOME TOP ┃ PAGE TOP ┃ 会報の目次



Copyright(C) 2007~ 活法整体&アロマセラピー ねろり. All rights reserved