トップページ 》 会報【ねろりでげんき】の目次 》 ねろりでげんきNo.16



 春の五季は『木』、木々の芽が吹き、草花がどんどん成長する季節です。カエルや熊など動物達も、冬の間は寒さをしのげる場所で体力を消耗しないようにして暮らしていますが、春になると元気に活動を開始します。ネコ達も冬眠こそしませんが、外でワォワォ、ニャーニャーと賑やかに鳴き始めます。
 東洋医学には『天人一体』という考えがあり、これは『常に人間も自然界と関わっているので、自然界で起こっている事は、人の身体の内外でも起こっている』という意味です。
 人は暖房器具や衣類なとで温度調整しているので、他の動物より自然の影響は小さいとはいえ、やはり春になると身も心も活発になります。

  人間は自律神経を働かせ、ホルモンのバランスを取りながら、気候など環境の変化に心身を対応させています。常にこの働きは行われていますが、特に気温差の大きい冬から春はフル稼動状態です。これが上手く調整できないと、頭痛、肩こり、湿疹・吹き出物、下痢や便秘などの症状が出てきます。身体だけでなく一日中眠い、倦怠感、イライラ、憂鬱、もやもや感など心の不調も起きるので、春は精神的に不安定になる方が多いようです。
(5月病は生活環境の変化だけではないようですね)

 さて、ここからは東洋医学的に春の不調対策を。春は『肝』が最も働く季節とされていますが、『肝』は血液とも深い関係がある臓器です。血液(栄養素や酸素の運び屋)の貯蔵と調整・浄化は肝臓の大切な働きだからです。特に自律神経やホルモンのバランスが崩れやすい時期は、綺麗でバランスのとれた血液を体の隅々まで巡らす必要があります。
  東洋医学では血液は『血(けつ)』と呼ばれ、気によって流れているものとされています。だから気の巡りが悪い状態だと、『血』の流れも悪くなり、ますます元気もやる気も無くなり、気落ちし陰気になってしまいます。『血(けつ)』に不調が出た状態を《【 血(おけつ)】=『血』が滞った状態》や 《【血虚(けっきょ)】=『血』が足りない状態(貧血よりもっと広い意味です)》と言います。下記に『 血』と『血虚』についての症状と対処法を表にしました。『血』を養うということは『肝』を養うということ、気候だけでなく生活環境も変化しがちな春は、心身の健康のためにも『血』の状態を良くしておきましょう。


  東洋医学では、『肝』の調子が悪いと怒りっぽくなるとされています。血の流れや質が悪くなると気も頭に登ったままでイライラしてしまうようです。そうなると交感神経が優位になってしまって、消化器官の働き全体が悪くなり、更に『肝』に負担をかけてしまいます。それが悪循環になってますます怒りっぽくなってしまいます。
 お酒も適度でしたらストレス解消に良いですが、深酒は『肝』を疲れさせ、ストレスを増やす元になりかねません。春は歓迎会などお酒を召し上がる機会も多いかと思いますが、『肝』のためにも最後まで楽しいお酒をどうぞ。
      五行の色体表はこちらに載せています。




   不眠解消にとインターネットで精油(アロマオイル)を買われた方が「カモミールはリラックス効果があり甘いリンゴのような香りがする……との事でちょっと高いのを頑張って買ったのに……クサイ……」て言われてました。カモミールティーなどでご存知の方も多いカモミール。でもアロマオイルやハーブティーに使われているカモミールが2種類ある事は意外と知られていません。
  カモミールは多くの種類がありますが、そのうちアロマセラピーで使う種類はローマン(Anthemis nobilis)とジャーマン(Matricaria chamomilla)の2種です。両方とも白い小菊ですが、その成分は大きな違いがあり、特に精油は色も香りも全く違います。リラックス作用として良く使われ、一般に良い香りとして売られているのはローマンの方で、リンゴの香りにほんのりブランディーが混じったような香りです。それに対してジャーマンは青臭い薬のような香。この香で癒される方は少ないと思います。
(どんな香か実際に嗅いでみたい方は施術の後にでもどうぞ)。
 でも臭い香の元、ジャーマンの精油に含まれているカマズレンという成分には、抗ヒスタミン作用(アレルギーを抑える作用)や炎症を抑える作用があります。精油の色はこの成分のために濃い青色で、ローマンの薄い黄金色と全く違います。他にもローマンには含まれていない抗炎症作用を持つビサボロールオキサイドという成分に富んでいるので、かゆみや痛みを抑えるのにも使われます。それに対してローマンはエステル類に富むので、痙攣を抑えたり神経を鎮静させたり、心身をリラックスさせる力に優れています。
  お茶(カモミールティー)は、花を乾燥させた物です。香は各々似ていますが、こちらは精油と違ってローマンの方が癖が強く、一般的に売られているのはジャーマンの方です。もちろんジャーマンにもリラックス効果があります。臭い香成分カマズレンは、熱をしっかり加える事でグアヤノライドという成分がカマズレンに変化したものなので、急須で出したくらいでは青い色や薬っぽい香にはなりません。(精油は水蒸気蒸留で抽出するので長時間熱をかけます)
  間違ってジャーマンの精油を買われた方、それはそれで有用な物ですので、捨てないで下さいね、高価な物ですから。






   前号で春は風邪(ふうじゃ=風が運んで来る病気の元)に気をつけないといけない時期として花粉症のお話をしました。最近の風邪(ふうじゃ)は風邪(かぜ)やインフルエンザのような病原菌だけではないようです。
  昔は「春がすみ」といえばだいたい黄砂が原因でした。これも段々ひどくなっているとの事ですが、最近はそれ以外の原因として杉花粉だけでなく「PM2.5」も風邪(ふうじゃ)が運んできているようです。

  私の子供の頃は、晴れた日には光化学スモッグがよく出ていました。光化学スモッグとPM2.5は全く同じ物とは言えませんが、PM2.5のニュースを聞くとその頃のことを思い出してしまいます。校舎のてっぺんに、注意報の時は黄色い旗、警報の時は赤い旗が立てられ、とっても良い天気なのに外で遊ぶ事ができませんでした。外にいると目がチカチカと痛くなるのです。大阪湾を臨むと東側の尼崎市や大阪あたりの空は灰色に見えた事をよく覚えています。特に天気の安定する秋は度々注意報が出るため、小学校の秋の運動会は午前中で終了、とってもしょぼいものでした。

  北京のまるで煙にまかれているような映像、このもの凄いスモッグを風邪(ふうじゃ)が日本に運んできています。ここ数年、中国産の食品について様々な問題が見つかっていますが、まだ食品は「買わなきゃいい」という思いがあります。でも空気は「吸わなきゃいい」とはなりません。注意しても直ぐにやめてくれるお隣さんではないので、外出を控えたりマスクをつけたり目洗いなど、自分達で身を守るしかないようです。 
  表面に書いた『天人一体』、中国には先人達の素晴らしい教えがあるのに、現代の人は目先の利益ばかりおっかけて自然も心身も壊しているように感じます。日本も高度成長時代に公害でとても苦い経験をし、その反省の上に今があります。お隣さんにも何が一番大切か早く気付いて貰いたいものですね。 

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