去年の夏号で、東洋医学には「心(しん・心臓を中心とした循環系)は神(しん・精神)につながる」という考えがあるということを書きました。そして、精神的な影響を心臓はとても受けやすいという事で、緊張したり好きな人が急に現れたりしたら、肝臓や腎臓はドキドキしないけど心臓はドキドキする話を例にあげました。
また、腸には、細菌などから身体を守っているリンパ球や毛細血管の半分以上が集まっています。だから栄養分などの良い物はしっかり吸収して毛細血管に流し、細菌や毒素などの悪い物はリンパ球がいち早く退治するか、下痢や嘔吐という形で素早く外に出す事が出来るのです。

暑い時は熱中症に要注意です。中には「喉が渇わかないので水を飲まない」という方がいらっしゃいますが、喉の渇きを感じる時には既に身体は水不足の状態。また、そんな時は大量に一気飲み……一度に多量の水分を飲むのは内臓に余分な負担をかけてしまいます。出来る事ならば水分は喉の渇きを感じなくても、こまめに少しずつ摂るようにしましょう。
でも「折角たっぷり汗を出して体重を減らしたのに、また水分を取るなんてもったいない」と思っている方はいらっしゃいませんか? 特にサウナや岩盤浴をダイエット目的で利用される方がいらっしゃいますよね。サウナなど暑い温度・高い湿度の場所に居ると血行が良くなり汗もたっぷりかくので、溜まっている老廃物を出してしまうのには良いですが、運動した時とは違って脂肪が燃焼している理由ではありません。ダイエット目的でのサウナは、新陳代謝を上げるためで汗の量は減量にはなりません。
私の子供の頃の話しですが、父は仕事の関係で、台湾に時々行っていました。帰って来る度に「暑いのに冷たい飲み物が出てこない、熱いお茶ぱっかりだ」とこぼしていました。この父の言葉は、夏、冷たい物ばかり欲しがっていた私にとっては、この年になるまで忘れられないぐらい印象に残る言葉でした。うん十年前の話ですので、衛生上の面からとか、まだ冷蔵庫が普及していないなど、今の台湾とは事情が違うとは思います。
蒸し暑い気候で胃腸の働きが低下しているところに冷たい物をとると、胃腸が冷えてますます消化吸収が悪くなり、胃もたれや下痢を起こして、夏バテ症状に至ってしまいます。夏の気候が日本より長く続く台湾だと、夏バテでは済まなくなるかもしれません。