■梅雨が明けると夏真っ盛り……なのですが、暦の上では8月7日は立秋、その前の7月20日から8月6日までは、既に夏から秋への変わり目として土用の期間となっています。この土用とは、立秋だけでなく立春・立夏・立冬(四立)の前の18日間を言います。立秋前の土用は『土用の丑』として「節気って何?」と言われるような方でもご存知だったりしますね。でも、決して『うなぎの記念日』ではありませんよ。
■ところで東洋医学では、五臓腑の状態が出やすい身体の部分を五主と言い、脾・胃の五主は『肌肉』としています。ちなみに肝は『筋』、心は『血脈』、肺は『皮毛』、腎は『骨髄』です。で、この『肌肉』とは多くの方が大嫌いな脂肪のこと。消化機能と脂肪、この関係は説明するまでもないでしょう。脂肪の大きな役目は、寒さや衝撃から内臓を守り、エネルギー源を貯蔵すること。このエネルギー源の貯蔵については、日本では殆ど飢える事が無くなり、人によっては困った機能になってしまいました。
また、女性ホルモンのエストロゲンは主に卵巣から分泌されていますが、脂肪細胞からも分泌されています。エストロゲンには、スベスベお肌など女性らしい身体を維持するだけでなく、骨粗鬆症を予防する働きがあります。また、悪玉コレステロールを抑え善玉コレステロールを増やすと考えられていて、動脈硬化予防に働きます。閉経後はエストロゲンの卵巣での生成力が落ちるので、その埋め合わせを脂肪細胞がします。だから、閉経前後にぽっちゃりしてくるのは、自然の摂理といえるかもしれませんね。
それは、良い働きをするアディポネクチンは小さな脂肪細胞から分泌されるので、太り過ぎて一つ一つの脂肪細胞まで大きく太ってしまうと分泌量が減り、逆に悪い作用をするホルモン(PAI-1、HB-EGF、TNF-α、アンジオテンシノーゲン)が多く分泌されるようになります。これらは、血圧を上げたり、血栓を作ったり、血糖値を上げたりと様々な成人病の原因を作ります。
◆今回は季節に関係無く、今多くの方に起きているお話です。右の図は一つは人間で、もう一つはネコの骨格です。気味悪がらないで見て下さいね。四つ足のネコの骨格は、それだけでも充分立てる感じがしますが、人間の骨格は「よくこんな物が立ってるな」って思いませんか? 人間は発達した大きな頭(脳)と二足歩行のために、とっても不安定な形をしています。(この図は八頭身の男性・かなり小顔の方、普通はもう少し頭が大きいです) 高い文明を発展させてきたのとは反対に、身体の機能性は落としてしまった感じがします。
◆でもこの不安定な骨格に、何の工夫も無いわけではありません。
◆さて、ここからが本題です。首のわん曲が浅くなり殆どストレートになった方が増えています(左図)。日常的に長時間、パソコンや事務仕事などでうつむく姿勢をとっている方は要注意です。特に、最近はスマホの普及によって若い方にもストレートネックが広がっています。それは、昔ながらの携帯電話は片手で殆どの用が済むのに対して、スマホは片手で本体を持ち反対の手で操作するので、手元が身体に自然とより近い位置となり極端なうつむき姿勢となります。おまけに情報量が多いので、ついつい使用時間も長くなってしまう事が原因のようです。
◆それは首・肩だけでなく全身へも影響を及ぼします。頭が前に出ると少し猫背にならないと身体のバランスがとれません。猫背になると腰の曲線も少し強くして安定感をとる必要が出てきます。曲線のバランスは、堅い骨でなくその間のクッション役の関節(椎間板)が行いますが、腰椎の下側(L4-L5-S1)には首の歪みによる負担が全部かかってきます。そうなるとヘルニアを含め腰痛の原因になってしまいます。| ● ● |
タオル1〜2枚をクルクル巻いて、直径7〜8cmぐらいの大きなおしぼりを作って下さい。軽く抑え込んで直径5〜6cmぐらい。 仰向けに寝転び、首の下に先程の大きなおしぼりを置いて下さい。個人差がありますからあごが上がってしまう場合は少し巻きを小さく、逆に頭下方に軽い負荷を感じない場合はもう少し巻きを大きくして下さい。これで20〜30分。 |
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| 日中、こんなにゆっくり寝転ぶ時間をとるのは難しいと思いますので、就寝前が良いでしょう。そのまま寝入ってしまうと逆効果になりますから、30分後で目覚ましを掛けておきましょうね。 | ||
背中を丸めた悪い姿勢を『猫背』といいますが、猫は背中が痛くならないのでしょうか? 実はこの『猫背』、ネコ科の彼らならではのしなやかな身体を象徴している姿勢なんです。