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 東洋医学では自然界の木・火・土・金・水の5つの要素を季節や臓腑に当てはめている、というお話の3回目。 五行の色体表はこちらに載せています。
  夏の後は「長夏」。春秋冬は「長」がつく季節は無いのに夏だけはあります。「長夏」は日本の「初秋から9月頃まで」だと考えてもいいでしょう。まだ日中は夏のなごりが残る頃です。
  この季節は土から育った作物が実をつける稔りの時期。収穫期は「土」の気が旺盛な時期です。

 そして、夏の暑さで落ちていた食欲も回復し初め、食事も美味しく食べれるようになった頃。「胃」と「脾(西洋医学の膵臓に近い働き)」の気が旺盛な季節。「胃・脾」は、飲食物を消化・吸収するという機能だけでなく、心肺と協力をしながら身体全体に栄養分やエネルギー(血・気)を補給する働きも含めます。
  また、土は作物を生み出すだけでなく、貯蔵する場所でもあります。だから、「土」の気が旺盛な季節は、寒い冬に備えて、収穫した作物を土の中に貯蔵していきました。また、動物も(人も)「胃・脾」をしっかり働かせて、せっせと体内に養分を溜めていきます。でも、「胃・脾」を過剰に働かせると、必要以上の養分が皮下脂肪に蓄えられてしまいます。

 だから「胃・脾」の働きは「肌肉(皮下脂肪)」にも大きく影響します(裏面の五行表参照)。反対に、「胃・脾」が正常に働かないと、栄養分が身体に運ばれなくなり、エネルギー不足で動けなくなります。そして痩せ細るだけでなく筋肉や骨も弱り、各臓器の働きも落ち、病気や怪我をしやすくなります。何でも「適度に」が大切ですね。
  それから「胃・脾」の調子は口や味覚にでます。唇が荒れたり、口の周りにできものができたり、味覚が鈍くなったりするのは、胃の調子が悪かったり、ビタミンなどの栄養素が足りない可能性があります。

 「胃・脾」は、「思考・思慮」と深い関係があります。栄養のバランスが悪かったり、お腹がすいていると、イライラしたり、やる気が無くなったりしますね。また、思い悩むタイプの方はよく胃が痛くなりやすいです。またストレスを溜めると胃潰瘍になったりします。「胃・脾」に負担を掛けないためにもストレスは解消しましょう。




  火傷したら庭のアロエの葉をちぎってその汁をつけたりしますが、日本だけでなく世界の様々な国でアロエは火傷の治療に使われていました。
  アロエには皮膚を修復・治癒させる働きやメラニン色素を作り出す酵素の働きを抑制させる働きがあるからです。
  世界で最もよく使われているのはアロエベラという種類ですが、日本でよく栽培されているのはキダチアロエ。日本の季候・風土に一番合うようです。

  このアロエを使って、手作り化粧水を作ってみましょう。アロエはお庭に生えているキダチアロエでも良いし、最近、スーパーなどでも販売されているアロエベラでも良いです。アロエベラの場合は皮をむいて使って下さい。

 化粧水の基本の作り方は、日本酒30mlにアロエのしぼり汁5mlを入れて混ぜるだけ。冷蔵庫に入れて1〜2週間で使いきって下さい。
  それにラベンダーやカモミールローマン、フランキンセンス、サンダルウッドなどの精油を合計4〜5滴加えると、香も良くお肌の修復や炎症を抑える力もアップします。お酒が苦手な方は精製水30mlにグリセリン小さじ1杯をベースにしてもかまいません。アロエでシミ・ソバカスを予防しましょっ!



  「土用」は何の日?「うなぎを食べる日!」確かに暑い夏を乗り切るのに精のつくうなぎを食べる習慣がありますね。その由来は諸説ありますが、江戸時代の蘭学者で発明家でもあった平賀源内が始めたという説が最も良く知られています。彼は漢方にも精通していて本草学者でもあったらしいです。
  平賀源内の事はおいて、話を元にもどしましょう。「土用」は春夏秋冬の季節の変わり目、立夏・立秋・立冬・立春の4立の直前約18日間の事です。だから年に4回計72日あります。季節の変わり目は体調が乱れやすい時期です。
 特に夏から秋の変わり目の「長夏」を「土用」と表現したのは、その時期が最もバランスを壊しやすいからかもしれません。
  また、夏バテも回復し食欲も少しづつ出てくる時期でもあります。「長夏」は、身体が養分(脂肪)を溜めて冬支度を始める季節です(上の項参照)。でも現代は、自然の摂理とは全く違って冬でも美味しい物が沢山あります。「自然の摂理だから」って食欲に任せて食べていると大変な事になってしまいます。一つ自然の摂理と違う事をすれば、それに様々な事も併せていかなければなりませんよね。


「脾」と「膵」の話

  前回までは五臓の話をメインに書いていましたが、今回は五臓の「脾」と五腑の「胃」の両方をあげてお話を書きました。働きとして「脾」と書いてしまうと読まれる方のイメージがつきにくいと思い、敢えてそうしました。
  東洋医学では「膵臓」の働きを持つものを「脾」と言います。日本でも江戸時代までは東洋医学が主流で、「脾」と表現していました。しかし、日本で最初の西洋医学の書『解体新書』を作成する時に、わざと「脾」を「膵」に変えて翻訳をしたので「脾」が「膵」に変わってしまったようです。
  脾の旁(つくり)の部分「卑」は「いやしい」など悪い意味を持つのに対して、「翠」は「(優れたものを)集める」という意味があります。だから、この素晴らしい臓器に対して「卑」という文字を使うことに抵抗を感じ、意味として最もふさわしい「翠」を使って文字を作り、この臓器に名付けたらしいです。「膵」は中国から渡ってきた字でなく、和製の漢字です。じゃあ「今の脾臓は?」というと、脾臓と膵臓を別の臓と考えずに、ひとつの臓と考えられていたのではないかと言われています。
 


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