トップページ 》 会報【ねろりでげんき】の目次 》 ねろりでげんきNo.9

 東洋医学では自然界の木・火・土・金・水の5つの要素を季節や臓腑に当てはめている、というお話の5回目。五行の色体表はこちらに載せています。
 冬は「水」の季節。地下から湧き出て流れる水をイメージして下さい。冬の地上は寒くて生き物は冬眠状態。でも水は、様々な生物が暖かな春になると地上に顔を出せるよう、地面の下で生命を育んでいます。それは「水」の大切な役割です。

 体内の水を調節する臓は「腎」です(腎の気化作用)。東洋医学の「腎」は水だけでなく「精気」も司っていて、生殖機能も含めていますので、生命を育む働きを持つ重要な臓とされています。これは上に書いた「水」の働きともつながっていますね。「精気」は目に見えないし、現代医学でも説明がつかないものなのでイメージがつきにくいかもしれませんが、東洋医学では生物がみんな持っているもので、生きていく活力ともいえる大切なものです。
  「腎」は「精気の生成と調整」をするので、生殖だけでなく成長・発育、そして日々の活力を調整する働きも含めます。ですので現代医学で表現すると広い臓器がかかわってきます。例えば様々なホルモンの分泌を行う副腎、血液をつくる骨髄、様々な刺激を伝える脊髄などが「精気」を作り出したり調整する主な器官です。だからこれらの一つでもバランスが崩れると「腎」の調子も落ちてしまいます。

 「腎」は水や精気の調整に関わることから、身体を暖めて物事のやる気を起こさせたり(=「腎陽」)、熱でカッカする身体や気持ちを水の力で冷ます働き(=「腎陰」)があります。
  若い頃は精気に満ちあふれているので「腎」の気も盛んですが、段々年をとると「腎」の気が減って「腎虚」の状態になっていきます。でも、ご高齢の方でも、趣味や仕事やスポーツと元気に取り組まれているのを見かけます。そんな方々は「腎」の気がとても良い状態なのでしょう。出来る事ならそのように年を重ねたいものですね。


 インフルエンザだけでなく風邪の予防にもなるお話です。これらの原因はウイルス、まず身体の中に侵入させない事が大切です。でも、うがい・手洗いと自分自身が気をつけていても、家族が学校や職場でウィルスをもらってくるかもしれません。そんな時、精油をアロマランプなどで焚き、お部屋の中を気持ち良く殺菌しましょう。風邪やインフルエンザにかかった時、家族にうつさないようにするのにも効果的です。
 精油は抗ウイルス作用の高いユーカリ(グロビラス・ラディアタ)・ティートリー・パインなどがお勧めです。また、スィートオレンジ・グレープフルーツ・ゼラニウムなどとブレンドすると香が柔らかくなるだけでなく、免疫力アップにも繋がります。広い空間や外出時は、マスクに精油を垂らしたティッシュを挟むのも有効です。
 

 春から始まった季節と五行・五臓腑の話、今回の「冬」と「腎」が最後となりました。東洋医学とはよく言えばおおらか、悪く言えばおおざっぱと感じられたかもしれません。原因・病名を特定して治療という西洋医学の考え方が浸透していますので、東洋医学の話もついつい決まった臓器や病名を当てはめようとしてしまいます。
 でも今回の「腎」の話など特にそうですが、「精気」という身体全体にあるのに見えない物の話をする時、特定の何かに当てはめ、西洋医学的な説明をしようとするとかなりの無理がでてきます。
 東洋医学の考えは「臓腑は相互に助け合ったり牽制し合ったりしていて、そのバランスが崩れた時に病気になる」というものです。病気を発症する引き金は一つだとしてもそうなってしまった要因は、過労やストレス、栄養の偏りや運動不足、遺伝的な事など色々な事が重なり合って起きる事が殆どです。
 そして一カ所に不調が起きると他の場所も影響を受けます。例えば糖尿や脳卒中などが解りやすいですね。風邪も直接の原因はウイルスですが、同じようにウイルスの攻撃を受けても免疫力の高い人は発症しにくいです。
  病気になった時にぱ病院で早く治療を受けるのが一番ですが、病気の予防や慢性的な症状には、毎日の生活習慣・性格も含め身体全体から見ていく東洋医学の考えも大切かもしれませんね。



「五臓五腑」「五臓六腑」「六臓六腑」どれが正解?

  五臓六腑」という言葉は一度は耳にした事があるのではないでしょうか?美味しいお酒を飲んだとき「五臓六腑に染み渡る」なんて言いますし、桑田佳祐さんの『エロティカセブン』の歌詞にも『五臓六腑を駆けてゆく』というフレーズもありますものね。それではこの「五臓六腑」とは何でしょう?
  五臓とは、肝・心・脾(膵)・肺・腎、六腑は胆・小腸・胃・大腸・膀胱そして三焦。最後の「三焦」は実際には存在しておらず東洋医学独特の考えの臓腑で、「三焦」とは「生命を燃やす三つの場所」という意味です。生きている人間は温かいですが、食べたり飲んだり、呼吸したりして熱は作られます。この働きをする身体の部署は、心や肺などの「上焦」、胃や脾(膵)などの「中焦」、大腸や膀胱などの「下焦」です。そして、この三つの部署を調整しているのが「三焦」なのです。また、三つの部署が円滑に働く為には水も大切なので、「三焦」は水の調整もしています。
  「五臓六腑」が正解と思いきや、五行表の臓の行に「心包」なるものが入っています。これも「三焦」と同じ実際に存在しない東洋医学独特の考えの臓腑です。「心包」は心臓を保護している部分で心臓の働きを助けます。また「心」は精神に繋がりますから「心包」も精神的なものとも大いに関わりがあります。「心包」の働きが「心」に近い事から「心」に含める事もありが、「心包」は「三焦」と共に生きている者だけにある臓腑なので「心」と同じではありません。
  結局、実在している臓腑として「五臓五腑」、東洋医学の考えとして「六臓六腑」と「五臓六腑」、どれも間違いではありません。
 


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